「搬运」青桃 わたしの神様(4)
_(:з」∠)终于进入第二章了,后面真的超好看
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2.神様のご飯
私が幼少期、太った原因を聞かれればそれは間違いなく青峰家にあった。青峰家のご飯はまず美味しい。桃井家は洋食中心だが、味の染みた煮物など和食を中心とした青峰家のご飯は、白米が進む。
そして青峰家の一人息子大ちゃんは、一日動き回ることもあり食欲旺盛で、同じように食事を勧められた結果ーー私は運動量がないのに食事量だけが多い子供となり、すくすくと横に成長したのである。
(でも、美味しいんだもん)
今でも大ちゃんのお母さんの料理は天才だと思う。美味しい美味しいと言えば、いつだってお代わりを勧められてしまいそれを上手く断ることに私は必死だ。
大ちゃんが一緒に居る時は隙をみて大ちゃんに押し付ける。大ちゃんは疑問を持たずそれらをベロっと食べてしまう。
私の大好きな白米も、お魚も、煮物も。
(ううう、ずるいよぉ)
柔らかくにこまれ艶のある鶏肉、味の染みた椎茸、程よい歯ごたえのレンコン、野菜のもつ僅かな苦味を失わず味の染み込んだ人参に、しゃっきりとした歯ごたえを残している莢豌豆。一つ一つの味が独立し、かつ調和も取れている煮物は天才的だと思うが、最近大ちゃんは桜井くんのご飯の方が美味しいという。理解できない。
(確かに桜井くんのご飯も美味しいけど!)
ただ私の予想では、大ちゃんは洋食が恋しいのだ。生まれた時から和食和食和食。案外優しい大ちゃんは、お母さんに和食が嫌いだと訴えたことはないと思う。
その結果食べてはいるが、洋食に対するあこがれが強い。外食をするときも洋食ばかりだ。
(それくらいのことなら、すぐわかるもん)
大ちゃんがさぼるとき、そして街中ではぐれた時も何故か私は大抵すぐに見つけることができる。それは恐らく大ちゃんも同じだ。
幼稚園くらいの頃、私は一度見たこともない蝶にふらふら着いていってしまったことがある。荷物も何もかも置いて、ただ蝶に導かれるように、捕まえるでもなく、ただその後を追いかけ始めた。どのくらいその後を追いかけていたのか分からないが、唐突に手首を掴まれた。
「ひゃっ」
驚いて振り向くと、そこには汗まみれになった大ちゃんがいた。
私はその顔をまじまじと見る。何故突然腕を掴まれたのかも分からなければ、驚く程汗をかいている姿が新鮮でもあった。
「さつき」
「うん」
私を呼んだ声は、珍しくも僅かに震えていた。
大ちゃんの口にする「さつき」という単語が、私の頭に染みわたる。そしてよく見ると、どこか薄い膜できらきら輝いているようにも見えた。
「…、帰るぞ」
言われて、気づけば空が茜色に染まっていることに気づく。同時に、あれだけ惹かれていた深い緑のような、青のような羽をもつ蝶のことは忘れしまった。大ちゃんの言葉で、全てが一瞬で切り替わる。
いつもはあっちこっちふらふらする大ちゃんだが、珍しくもこの日は真っ直ぐ歩く。手を伸ばされたので、静かに私も手を伸ばす。その頃ようやく私はここが、どこか分からない場所だということに気づいた。
気づいた瞬間足が自然と止まりそうになる。
(あ、)
不安。怖い。
そんな感覚が私の足を止めようとする。けれども、繋いだ手が、きつく私の手を握っている。
「うん」
それはだいぶ歩いてからの返事だったが、大ちゃんは何も言わなかった。二人で見知った道まで出た瞬間、大ちゃんのお母さんに見つけて貰い、二人とも同時泣き出しそうになったことを未だにたまにからかわれている。
そんなことを思い出していれば少しぼんやりしていたのか、目の前に、新たな小鉢が差し出され、私は嬉しい悲鳴をあげつつ脳内では必死にカロリー計算をする。
「まったく。大輝は本当、頭を幼少期に打ち過ぎたのが原因よね。本当体力馬鹿になって」
大ちゃんがロードワーク中に食事に誘われ、私は大ちゃんのお母さんと二人でご飯を食べていた。少し前に料理を教えて欲しいと頼んだこともあり、おばさんは思い出したように私に声をかけてくれる。
取り敢えず食材を切ることについては、少しましになった。にゃんこの手。
「ま、でもさつきちゃんが傷物しちゃったんだものね?」
「もうそれ忘れてー!」
私の前で、楽しそうにおばさんが笑う。
私が誕生日に買ってもらった麦わら帽子を飛ばされてしまった時、代わりによじ登ってくれたの大ちゃんだった。
そこまではよかったのだ。彼がその後木から落下しなければ。
当時の私は頭を打った時には動かしてはいけないなど分かるはずもなく、本当に汗まみれになりながら、ふらふらと彼を背負って家まで帰った。
その日初めてきた公園の場所だったが、私は頭をフル回転させ、最短距離で大ちゃんの家にたどり着くことに成功をした。
おばさんがすぐに飛んできて、おばさんに大ちゃんを渡した瞬間恐らく私は泣いていたと思う。静かにぐすぐすと。
今更ながら、彼が血を流していたことが怖くなったのだと思う。
「おばちゃん…」
泣きとまない私の頭を、何度も撫でてくれた大ちゃんのお母さんは、未だにこの言葉で笑い転げる。
「大ちゃん、傷物になっちゃった」
私は驚く程真剣だったことだけは、言っておく。
ただ青峰大輝という人物は怪我の多い人物で、それでいて驚く程体力がある。翌日にはもうケロっとしていたので、私は自分が泣いたのが一体何だったなのか翌日には分からなくなっていたはずだ。
そんな風に、私たちは幼い頃から一緒で、周囲を含め沢山の思い出を持っている。だが、私がこんな美味しい料理を食べていても料理の腕が上達しないことと同じように、バスケットは好きにならないし、どんなに願っていても、今の所大ちゃんにぴったりの彼女が出来る気配も無かった。
神様のいる私の世界は、安定をしている。だが、いつだって神様自身の幸せは、ままならないのだ。